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    <title>だんだん</title>
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    <![CDATA[<br />
　外出時に着る服は特に要らなくなった。限られた店しかなく遊び場所もなく、必要とあらば母のものを借りることもできると想うと、此処に来てからシャツやブラウスのカフスを取り袖口にゴムを通し直して着ることが多くなった。<br />
　不器用なこともあり壱枚直すのにも時間は掛かるが、袖口が汚れるのを気にしいちいち割烹着を羽織る面倒臭さや、Ｓサイズがみつからず指先まで隠れてしまう煩わしさから開放されたことは大きい。<br />
　だんだん好きなものがわかってくる。されど年齢とともに好みも変化する。そうしてはだんだん好きなものがわかってくる繰り返し。<br />
　変わらないものも変わるものもいとおしく、それに合わせ繕ったり直したりする自身の手をいとおしく感じたりして、今日も手直しした服を頭からかぶり彼の前に立つ。それからいつものようにお茶にした。]]>
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    <pubDate>Sun, 10 May 2026 04:06:35 GMT</pubDate>
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    <title>生命</title>
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    <![CDATA[<br />
　花びらの色を残し乾燥花になる花、花びらの色が抜け茶に変色するが形が美しく乾燥花になる花、やはり花びらは変色するが匂いを残し乾燥花になる花、と乾燥花にしてもいろいろあるのだなと想う。<br />
　リラは花びらの色は抜けてしまったが、樹木に繋がっていた頃を思い出したかのように匂いを取り戻していた。他の花と一緒にし小瓶に詰めればいいのだろうが、まだ長い枝についたままにしてある。<br />
<br />
　手に負えないものは無くなっていくが、そうでないものは増えていく。<br />
　いつか同じように自身を亡くすのかもしれない。其の直前まで彼を想っているのかもしれない。<br />
<br />
　初めて見る茎の先に小花がまとまった紫の大きな花を試しに弐本吊るしてみたが、果たして此れは乾燥花になるだろうか。<br />
　生物学的には生命は無いものとなってしまうのだろうが、そうは想えず花の傍で耳を清ます。わかっていることが全てではないでしょう、と相変わらずとも云えることを放っては、成熟する前に朽ちるだろう自分に笑う。<br />
<br />
　それほど関わることなかった花のひとつにも与えてもらっているのに、あたしはこのまま誰にも何も残さずいくだろう。ならばせめてすっぱりとと願っている。]]>
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    <pubDate>Sat, 09 May 2026 03:10:45 GMT</pubDate>
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    <title>お弁当</title>
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    <![CDATA[<br />
　要領３２０ミリリットルと記された保存容器を弁当箱にし、昼食を食べるようになり数箇月。ぱっと見て量や何を口にしたかがわかる。<br />
　肆箇月は食べてない牛肉ときのこ。絶えずと言っていいほど口にしているブロッコリーとトマト。子供の頃は口にするのが嫌だったけれど、レバーだってラムだって肉は食べられるようになっているし、きのこもエノキなら頑張らなくても食べられる。避けているわけでもないのに何故か眼に入らない。<br />
　今日は唐揚げ弁当を作りお腹いっぱいになったので、おやつも夕食も要らなくなってしまった。昼だけでもしっかり食べようと始めたことなので良しとしよう。<br />
　ハードルは低い。そのくせ、曲げわっぱの弁当箱を買ったら素敵だろうか・・・、と弁当箱のハードルは高い。<br />
　何処かに持っていくわけでもないのにと想うけれど、こうしていると落ち着く。口の内側を噛むこと（苛ついているときにしてしまう癖）が少し減った。]]>
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    <pubDate>Fri, 08 May 2026 03:34:48 GMT</pubDate>
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    <title>洗濯</title>
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    <![CDATA[<br />
　洗濯機の脇に籠をふたつ用意するようになった。<br />
　籠のひとつに黒い衣服のみ入れ、ひとつは其れ以外のものを入れる。白い衣類のみで洗濯すると、白い色が長く保てると聞いている。あたしは黒い色を保ちたかった。<br />
　黒い衣類だけまとめて洗うと、黒い色が持つようになったと感じている。<br />
<br />
　アパートや借家暮らしのような煩わしさもなく、ふたつの箪笥の引き出しを入れ替えただけで終わってしまう衣替え。<br />
　何枚か残した彼の衣類は、あたしのものと混じった。丈や腰回りを詰め、お気に入りになった彼の麻のパンツ。此の黒い色はいつまで綺麗でいてくれるだろう。<br />
<br />
　直せずにいるジャケットも、できれば草の匂いも土の匂いも朝焼けの匂いもつけたい。しまったままにせず呼吸させたい。汚しては洗いたい。<br />
　生きていること、生きていること、・・・（苦しくて仕様がないけれど）。彼が教えてくれたこと。]]>
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    <pubDate>Thu, 07 May 2026 00:33:25 GMT</pubDate>
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    <title>今のあたし（たち）の日々</title>
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    <![CDATA[<br />
　母のベッドを移動させ和室を母の寝室にしたは良いものの、母の寝室兼客間だった洋間は炬燵兼座卓はそのまま、奥に父の仏壇を置き家に上げるまでの客人は滅多にいないこともあり上着を掛けた木製のハンガーラックと鞄を入れた大きな籠も置いたが、それきりどうしたものか悩んでしまっていた。<br />
　ふと想い、伯父がくれた貨車とでも云うのか、物を乗せ移動させに便利なものに座布団を乗せてみると、違和感なく置けることがわかった。そして余っていたパイプ製のハンガーラックに大判のストールを掛けると、いい目隠しになることもわかった。<br />
　湖へも森へももう出掛けることのない連休。白いワンピースを着て花に水やりをしたり亀たちと遊んだりお寿司をこしらえてみたり・・・。ストールでなくて着物を掛けても素敵かも、と言い彼の方を向き笑うと、よかったねと言う声が聞こえた。]]>
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    <pubDate>Thu, 07 May 2026 00:32:52 GMT</pubDate>
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    <title>紫蘭の咲いた朝</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
　母の面会は週に弐度。花の寫眞を見せる都度、眼を輝かせる。<br />
　何もこんな場所にと想う場所に植物が育ち、放っておいたら今朝紫の花を咲かせていた。アマリリスに菖蒲、つつじ、とはっきりした濃い色の花を好む母に、今度も悦ぶ表情が浮かぶ。<br />
<br />
　これまでのことを何処まで母が憶えているかはわからない。けれど、それは彼女自身の問題で、日常会話ができる以上自分に困ったことはない。洋服のしつらえかたや着物の着方を教わっておけばよかったと想うことはあるにせよ。<br />
<br />
　性質も体質も料理の味付けも好みも、どれをとっても異なる彼女と自分。同じところと言えば、唯一植えた覚えのない植物を悦んで育てることだろうか。<br />
　せめて母の悦ぶ間だけでも枯らさないように育てたい。]]>
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    <pubDate>Tue, 05 May 2026 03:30:02 GMT</pubDate>
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    <title>連休</title>
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    <![CDATA[<br />
　取り敢えず・・・、と卓に壱ダース並べたアルバム。そして連日朝から夕方までローリング・ストーンズが流れている家になった。<br />
　多くに気を遣うことなく、多くにふれることなく、多くを知ることなく、好きなものを見て聴いて過ごす。<br />
<br />
　狭いあたしの世界。狭いあたしのつきあい方。<br />
　嗚呼、でもなんて豊かなのだろう、と家の中を見廻す。例えば、彼を通して見ていたもののように、覚えていくことがたくさんで愉しい。<br />
　表面しか見えていなかったものが、少しづつ姿を現している最中。]]>
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    <pubDate>Mon, 04 May 2026 01:17:17 GMT</pubDate>
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    <title>思い出す日に</title>
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    <![CDATA[<br />
　旋律ばかりでなく演奏も聴きたい。楽器の音ばかりでなく声も聴きたい。歌ならば歌詞も聴きたい。どうしても日本語で聴きたいときもある。<br />
<br />
　家の左隣の隣りは駐車場。後ろも道路を隔て廣い駐車場。前は家が建っているが、敷地が廣く半分を駐車場にし貸している。<br />
　回覧板を届ける為、駐車場を横切っていく。「しーえいグランドのー駐車じょー」。横切る都度そこだけ歌ってしまうなあ、と想い。「きよちゃんのお土産。」」と、ライブに行ってきた彼が渡してくれたものをまた想い。]]>
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    <pubDate>Sun, 03 May 2026 08:12:06 GMT</pubDate>
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    <title>瞬間</title>
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    <![CDATA[<br />
　寒さにふるえ暖房する伍月の始まり、雨音は大きくラジカセの音量を上げる。<br />
　瞬間、の次にやってきたのは倖せ。けれど、それもまた過去に。瞬間毎あたしは移動している。過去は全て脳に刻まれたものであり、此処にはない。<br />
<br />
　あたしが辿った道はあたしの脳の中に。あなたが見ている世界はあなたの脳の中に。<br />
　どちらが正しいかでなく、どちらもあやふやで脆くはあるけれど、どちらもかけがえのないもの。優劣で語る必要も、互いを打ち消す必要もない。<br />
<br />
　ブルーズが好きだと言ったの。漆曲目はトーン・アンド・フレイド。休日にレコード店に連れて行ってくれた人を思い出す。其れもみな過去のこと。あたしの記憶。<br />
　けれど瞬間やってきたのは倖せ。<br />
　頭をゆらし刻む律動、律動、律動、・・・。弾け飛び散っている過去。瞬間、全てひとつのうねりに。伸ばした腕があなたと交わる。]]>
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    <pubDate>Sat, 02 May 2026 01:40:02 GMT</pubDate>
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    <title>すかんぽ</title>
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    <![CDATA[<br />
　此の参日ばかりで土手はすかんぽをいっぱいにしていた。それが高層ビルから見た人のように感じられ、気が付くと歌をつくりうたっていた。雉が飛び出したのは出来事そのまま。<br />
<br />
　青い空は　夢を砕く　黒い空は　風を落とす<br />
　荒れ野に立つ　すかんぽは　まるで人のよう　耐えている<br />
　　何千もの泪　何千もの諦め　そして無数の祈り<br />
　　生きる力は弱く　命は短い　願いを種に託し消えていく<br />
　どうぞ　此のひと粒が　形を成しますように<br />
　絲でつないだ指輪に　すかんぽも笑い　隠れていた雉も飛び出して<br />
<br />
　ひと際赤く染まったすかんぽを折り、自転車籠に入れる。しろつめ草にあかつめ草も摘み自転車籠に入れた。<br />
　家に帰り花瓶に活けると、それはそれは素敵なことになった。野原を家の中まで持ってきてしまったようで、子供の頃庭に咲いていたたんぽぽやすみれを摘んではコップに飾っていたことや、大人になってからはれんげ草摘みにいそしんだ日々を思い出す。<br />
　それにしても、家具にしろ何にしろ、野の花のなんて似合う家だこと・・・。]]>
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    <pubDate>Sat, 02 May 2026 01:38:36 GMT</pubDate>
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