静かな夜
2020, Jul 10
病気に打ち勝った人の話を聞いても、努力し壱番になった人の話を知っても、・・・、応援する気持ちになっても感動したことなく、此の間ラジオで拾った人間はそんなに感動するものでないよの声に慰められたような気がし、それから其の声を何かある都度思い出すようになった。今日久し振りに感動を覚え、壱日テレビに映った其の人の言葉をなぞっていた。
昨日或る程度予測していたこととは云え張りつめていた絲が切れるようなことが起こり、うわの空で壱日を過ごしてしまった。だからなのだろうかと落ち着いて考えようとし幾度考えてみても、同じ答にしかならない。自身の問題、家族を考え周りを想い、ではあたしの感動にスイッチは入らず、どうやら見知らぬ者ひとりひとりをも考えられるような俯瞰的な視線と志を持つ人に、そう云う人の話に、感動するらしい。世の中に彼がいてよかった、其のことを知れただけでも此の世に産み落とされてよかった、と想うことはそうそうない。
夜になり布団に入り今日壱日を想っていると、ぼろぼろ泪が零れてきた。あたしのことだからきっとまだ何度も泣くだろうけれど、泣いたことでまだ平気と想え、其れに明日は今月いっとう楽しみにしていた日じゃないと自分に言い聞かせることができた。神様がひとり増えた夜は静かで雨音が耳に入ってこなかった。