棄てる筈だった
2020, Jul 29
白と灰の霜降り色の小振りなリュックサックは肩紐がしっかりしているうえ長さも合い躯にぴったりだった。どうして今まで気付かなかったのだろう。参分で脱げる靴下たちの指先を縫いながら、綿の靴下も子供用を選べばいいのかもしれないと想った。
針箱を出したついでに棄てる筈だったリュックサックの破れを縫ってみた。指に針を何度か刺してしまったものの、穴はうまくふさがり、気をよくしたあたしは手提げとしても使えるよう紐を縫い付け、更に脇の小物入れに折り畳みの傘を入れても落ちないようにするための紐を縫い付け、なんならとチェストベルト代わりの紐も縫い付けた。そしてリュックサック上部真ん中いっとう目立つ位置に猫のとんちゃん(上條淳士・画)の缶バッヂを付けると、どう見てもあたしのものでしょうと云うリュックサックができあがった。歩いて卅分ほどの店に行くことがあったら、肩の補強用にキルトの端切れでも買ってこよう。棄てる筈だったものならどんなに裁縫が下手なあたしでも失敗が怖くないようだ。
ひとつエコバッグが増えた。新しくできたエコバッグは壁に掛け、サンキライの乾燥花と一緒に気の済むまで悲しみに入っていてもらうことにしよう。