例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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いつか晴れた日に


 晴れと言ったら其の日は晴れだと呪うように想っていたら、よく晴れた暑い真夏のような壱日になった。汗を掻き何度も顔を拭き、たまらず扇風機こそつけたけれどエアコンは使わなかった。いつかの或の暑い夏の壱日のように本当だったら壱年でいっとう花まるになる筈だった日を、生涯忘れることない日になる筈だった日を、あたしは忘れられるだろうか。
 昼前に頭上に現れたけたたましい音をたて低空飛行で飛ぶヘリコプター(たぶん)に、佰機でも弐佰機でも落ちやがれ、とと或る場所やと或る人物たちの顔を思い浮べ罵り、封を切っていないマスクを胡坐をかいた尻の下敷きにし姿勢を正したあとで台所向かい、此の間朝食にと買ったコーンフレークを開け牛乳はほんの少しかけるだけにしカリカリと音をたて食べた。
 おとつい弐分間づつの休憩時間をはさみ拾捌時間浸った音楽も、昨日届いたJOY-POPSの受注生産限定CDも、慰めにはなるけれど壱度生まれたものは忘れでもしない限り消えることない。記憶、残骸、爪痕、・・・と言葉を並べ竹茣蓙に足の爪を滑らすとカリカリと音が鳴った。
 いつか晴れた日にと云う題の映画があったような、と想いながら、きっと雨なら泣いてた、とCOCCOの歌の壱節を繰り返し繰り返し口遊み、テイッシュペーパーをとろうとするとカリカリと音がするばかりでテイッシュペーパーが抓めなかった。ひと箱開けてしまったらしい。
 そろそろ時間が、と近付く夕刻に机に置いたままの箱を開けよく見えなくなった眼でCDラジカセの電源を探すと爪が当たったらしくカリカリと音がたった。明日からまた雨天が続くらしい。硝子戸の奥でむせかえるほどの草の匂いがしていた。

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